精一杯の背伸びを












「仁はとりあえずお風呂!」




 佳苗さんに押され、彼は洗面所に連れて行かれた。


 仁くんと目を合わせることはしなかった。


 だけど、私を気遣わしげに見ていたのだろう。


 憐れみだろうか?


 怒る気すら起きない。


 もう、空虚さ以外何も感じない。


 私が望んだことだ。


 心に線を引いて。


 仁くんに線を引いて。


 淡々と笑っていることを望んだ。