「おい。佳苗、今度は何やらかした?」
見なくてもわかる。
ドアを開け、リビングに現れたのは仁くんだ。
顔をオーブンから彼へと向ける。
彼は目を見開いて私を見ていた。
「小春?」
仁くんは、パジャマ姿で今まで寝ていたことが一目でわかる。
髪の毛もぼさぼさで、昔の仁くんを見ているようだ。
洗練された都会の彼ではなく、二人でいた頃の彼に。
「えっと……」
私は何から先に言えば良いのかわからなかった。
「あっ!!」
悲鳴が聞こえ、再びその張本人に目を向ける。
オーブンのスペアリブを出そうとして落としたようだ。
しかし、どちらにしても食べられる代物ではない。
「また焦がしたのか?キッチン滅茶苦茶にしないでくれ」
仁くんは大きなため息を吐いた。
呆れているようで、でも、とても優しく穏やかな雰囲気。
嫌な予感が頭を過ぎる。

