あの日、希美さんと出会ってから、半月くらい経った。

彼女に会いたくて、俺は時間があれば ほぼ毎日あの海辺へ通っていた。

流石にこの時間に居るわけねーよな。

陽は落ちていて、此処がポートハーバーじゃなかったなら きっとほぼ真っ暗。

そんな中、船の灯りに光って見えた1人の女子学生。

"もしかすると" って思って、不審に思われない程度に近くまで行ってみると 俺の記憶に違いがなければ きっと希美さんだった。

「希美さん……⁇」

名前を呼ばれて驚いた顔をするその人。
名前を呼ばれて反応しているあたり、本人……だよな⁇

"えぇっと……" って言葉を詰まらせている。

向こうからは俺の顔 見えてない感じ⁇

まぁ、ちょうど逆光で見えないかもしれない。

だから、正面に立つんじゃなくて 隣に移動した。

「翔平です、また会えたね。」

驚いた顔をして、口元をおさえている。

「私のこと……覚えて……⁇」

「うん、覚えてた。

ってか、ここに来ると また希美さんにに会えるんじゃないか、って思って 頻繁にここに来てたんだ。」

"希美さんは俺のこと、覚えてくれてた⁇" って聞くと、首を縦に振っていた。

まぁ、俺の写真集 買ってくれてたくらいだもんな。

等本人に会えたなら、まぁ 覚えてるか。