「「「翔平くーん‼︎」」」

俺の方にカメラとか、携帯とか、向けながら 追いかけてくるたくさんの人。

……ただ、ちょっと出かけたかっただけなのになぁ。

俺は、そんな人たちから逃げ切るために 踵を返して走った。

大人数で追いかけて来られないような、狭くて細い道を走り抜けて行く。

細い道が少し開けたところで、俺は ドンッと強めに誰かにぶつかってしまった。

相手は転んでしまった。
その人を俺は立ち上がらせ、抱き上げた。

「すみません、ちょっとだけ 我慢してください。」

俺はぶつかった相手の女性に一方的に話しかけ、抱き上げたまま 走り出した。

海辺のあたりまで出てくると、この辺りの地形に慣れていない人は追いかけて来られなくなる。

やっと、撒けた。

「すみません、こんなところまで連れてきてしまって……」

彼女と出会ったところ……っていうか、ぶつかってしまったところから、1kmと少しくらい離れた場所まで来た。