「うーん。まず何から話しましょうかねぇ。」




間延びした声でそう言った麻耶はため息をついてから椅子に座った。



自分の部屋に入ろうとした麻耶を大輝が許すはずもなく




「部屋でぜっっっっっったいに2人っきりになるな!」って言う大輝の言葉に仕方なく従って4階のリビングまで来た。




この家は5階まであって1つ1つの部屋が無駄に広い。




「……いつも思うけど相変わらず金持ちな家だな。」




「まあ、両親の仕事が仕事ですからね。」




麻耶は苦笑いを浮かべた。




「私達のグループとハルのグループの関係は、典型的なボスと下っ端。そんな感じです。」




「だけどさっき見せてくれた写真からしても大輝と、そのハルは……仲良いんだろ?」




「ハル」というのを口にするのに少し抵抗を感じた。




「ハル」は麻耶の昔の彼氏で、裕也をボコボコにして行方不明にまで追い込んだ奴。




俺にはそいつへの恨みというかそういうものが、少し大きすぎた。





「はい。小学生の頃からの知り合いらしいです。昔から2人で悪さばかりしていたって聞いてます。」




麻耶の左手が耳に触れた。




それはピアスの穴の存在を確かめるように



それが唯一、今になってのハルとのつながりみたいだった。




「元々、大輝は望んでも望まなくても今のグループに入る決まりでした。
その中でリーダーになるかどうかは本人の勝手ですけど。

その大輝がハルをグループに引き入れたんです。2人がまだ小学4年生の時。」




「ちょ、ちょっと待て。」




俺は麻耶の話に着いて行けていなかった。




「大輝がグループに入る決まりだったってどういうことだ?普通は……」