「あぁ!?もう来やがった!」
その解散の合図が今日は妙に早かった。
突然、赤いサイレンが俺達の目の前で光った。
時間を見れば10時半。
走り出してまだ1時間とちょっとしか経っていない。
「仕方ねぇな。」
裕哉はため息をつくと集団をそれて住宅地の道に入った。
『そこ!待つんだ!!』
パトカーの音と警官の声が後ろから追いかけて来ても、もちろん俺達は止まらない。
みんなもちゃんと散らばったようで、住宅地のあちこちでエンジン音が響いた。
『止まりなさい。ヘルメットを被りなさい!』
「んなダセェもの被るかよ!」
裕哉が声を上げて笑った。
しばらく民家の間を走り回っているうちに、警察のサイレンも他のバイクのエンジン音も聞こえなくなっていて
俺達は静かな住宅地を1台だけで走っていた。
「ここらに来たのは初めてか?」
「そうだな。いつももう少し遠くに行くから。」
裕哉はそう言うと1つの小さな公園で止まって、俺達はバイクを降りた。


