裕也がいなくなって1ヶ月が経って、俺はいつも通り登校して何か違和感を感じた。
その違和感に気づいたのは教室に入ってからだった。
メガネをかけた真面目そうな俺達のクラスの委員長が、廊下側の1番後ろの席の中から荷物を取り出している。
それは裕也の席だった。
俺は嫌な予感がした。
「おい。なんで机片付けてんだよ。」
俺に突然話しかけられてビビったのか、委員長は少し怯えたように俺を見上げた。
「せ、先生が片付けろって言ったんだ……もう、学校は辞めたって。」
……は?
裕也が学校を辞めた?
「どういうことだよ。」
「だからそのままの意味だよ。吉原には悪いけど、この机は職員室まで持っていかないと……」
何が何だか分からなかった。
何も、聞いてないぞ
荷物を片付けてるぐらいだから、本当にもう裕也は学校に来ない
そうはっきり理解するには俺には時間が必要で、やっと事実を飲み込んだ時には委員長はもういなかった。
裕也の机も綺麗さっぱりなくなっていた。
俺は朝のホームルームが始まるチャイムが鳴ったのを聞いて教室を飛び出した。
どこへ行くとか、何も考えてなかった。
俺は廊下を通って階段を1番上まで登ると、立ち入り禁止の札をくぐってその先の扉を勢いよく開けた。


