******

眠い。



まだ夜の9時だけど、今日は一段と眠い。



「由貴!?」



俺はその名前を呼ばれて顔をしかめる




「名前で呼ぶのやめて下さいって言ってるじゃないっすか。」



俺はため息をつきながら笑顔で抱きついてくる茶髪を見た。




「神崎先輩。」



「無茶言うなって!なかなか来ないお前が来たんだから喜ぶに決まってんだろ!」



「喜びのハグ〜!」とか言ってる先輩を引きはがしながら、俺は裕哉を見た。




「…助けろ。」




「やーだね。なかなか出なかったお前が悪い。」



ここは神崎先輩のマンションの広場で、今日集まりに出ている奴は30人いるかいないか



まあ、本当はもっといるんだろうけどいつもこんな感じ



みんなで騒ぐのが楽しいから集まってきているだけで



他のグループをぶっ潰すとか、そんなのは気が向いた時だけ。




「じゃあ、今日は暴れますかねぇ!」



今日はじゃなくて今日も、だろ。




心の中でそんなことを呟いて、俺は神崎先輩を見た。



先輩はさっそく笑顔でバイクにまたがっている。



バイクは、俺も割と好きだったりする。



だけど買う金がないから自分のは持ってない。




「由貴、乗れよ。」



「ああ。」




だからバイクが必要な日は、いつも裕哉の後ろに乗せてもらう。



まぁ


なかなか集まりに来ない俺が来た日はいつもバイクだから、それ以外はあんまりしないんだけど




「昨日はな、隣の学校が殴り込みに来やがって大変だったんだ。

お前がいたらもっと早く終わったかもしんねーのに。」




「勝ったんだろ?なら俺がいなくても一緒だ。」



「まぁそうなんだけど。」



裕哉が呆れたようにため息をついたと同時に、バイクは集団で走り出した。



警察が少ないところは先輩達が代々知っていて、変更されたときも情報通なやつがどっからか集めてくる。



それでももちろん見つかるから、その時は細かく分散して全員姿をくらますのがいつもの解散の合図だった。