突然口をついて言ってしまった言葉を後悔したのか、麻耶は顔をしかめて左耳に触れた。
「耳、よく触るよな。」
「癖なんです。」
麻耶はゆっくり左耳を撫でた。
「……お兄ちゃんとハルは、昔から仲が良くて。
2人揃って左耳だけピアスを開けたそうなんです。私はそれを真似したんです。」
麻耶の声は少し震えていた。
「……そのハルとは、なんで別れたんだ?」
麻耶はしばらくなんの表情もなく左耳を触っていたが急にパッと手を離した。
「忘れました!もう1年も前の話ですし。」
麻耶は笑った。
だけどその笑顔が嘘なことぐらい、誰が見たって分かった。
(探らないで下さい。)
麻耶にそう言われているようで
俺はそれ以上「ハル」について聞くことはできなかった。


