「あぁ〜、家だぁ。」
「家族は?誰もいないのか?」
「いないんじゃないかなぁ。誰がいつ帰ってくるかなんて全く分からないんですよ、この家。」
そんな家あるか?
そう思ったけど、麻耶は楽しそうに笑って俺を見た。
「本当に、助かりました。今度なんかお礼させて下さい。」
「いいよ、礼なんて。俺サボって寝てただけだし。」
その時、外で笑い声がして俺達は顔をあげた。
4階まで聞こえるんだから、相当大きな笑い声なんだろう。
「……あ、この声は。」
麻耶は「面倒くさい」とでも言いたげに顔をしかめた。
俺は何が何だか分からなかったけど、しばらくしてその意味が分かった。
笑い声の主は家に入って来たらしく、なかなかのスピードで階段を駆け上がってくる。
「すいません先輩。きっとうるさくなります。」
「うるさく……?」
俺が首を傾げた時、階段を駆け上がってくる音は4階で止まって足音に変わった。
「まーやー?帰ってるのか?早いじゃねぇか。」
俺はその声に聞き覚えがあった。
全身に緊張が走るのが分かる。
扉が勢いよく開いた。


