「あ……、ユキ先輩。3日ぶりぐらいですか?お久しぶりです。」
そんなに久しぶりでもないんだけど、その言葉に俺は一応「おう」と返した。
「えへへ……変なとこ、見られちゃったなぁ。私、高校入ってから保健室って初めて来ました。」
「そんなこと言ってないで、体調は?熱あるのか?」
「朝からちょっと熱があって……なんとか来たんですけど、ちょっと限界です。」
そんなことを言いながら麻耶は笑って見せた。
「でも、大丈夫です。先輩に迷惑かけません。」
俺は、そっと麻耶の肩に触れた。
肩に触れただけでも、熱が高いことが何となく分かる。
「うるせぇ。高熱じゃねえかよ。ここの保健室、先生いないときは半日ぐらい帰ってこねぇぞ。」
「え……」
麻耶が「この世の終わりだ」みたいな顔をしている隙に、俺は麻耶の腕を掴むと背負った。
「せ、先輩……」
「俺が、家まで送ってく。」
「そんな、大丈夫ですよ……」
口とは別に体は言うことを聞かないらしく麻耶の腕は俺の顔の横にダランと垂れ下がり、首にかかる息は熱い。
「俺、麻耶の家知ってる。」
麻耶の家なら、だいぶ前だけど1回行ったことがある。
「そう、ですけど……」
俺は有無を言わさず歩き出した。
「……すいません。」
「気にすんな。」
そんなことを言いながら、俺は自分の顔が熱くなるのが分かった。
……麻耶に、初めて触れた
相手が熱でてる時に不謹慎だけど、それが何となくこう……いや、やっぱいい。
麻耶はしんどさのあまり眠ってしまったのか、俺の耳元で小さく息を吐いた。


