裕也の動きが止まった。
裕也も俺も、この話題はわざと避けている感じはあった。
でも俺は聞かずにはいられなかった。
「麻耶は、どうなったんだよ。あの金髪の……大輝とかいう奴は、結局何がしたかったんだ……?」
「あいつらは……」
裕也は少し苦しそうに顔をしかめた。
何か言いたくないことでもあるような、そんな顔
「詳しいことは知らない。俺も途中で殴られて意識なくて……でもあいつらは全くの無傷だよ。そりゃ何人かは再起不能になったけど、幹部っぽい連中は傷1つ負ってない。」
裕也は包帯が巻かれた首をポリポリかきながら言った。
「あいつも……麻耶ってやつも、無傷なんじゃねぇかな。女で闘争に参加したのはあいつだけみたいだけど、気持ち悪いぐらい強かったって……化け物みたいだったって、1年の奴が言ってた。」
俺は何も言えなかった。
麻耶がそういう……喧嘩に参加するような不良だったってこと自体ショックだった。
だけど、麻耶の言葉が俺の頭から離れない。
『彼氏の、真似してあけたんです。』
大輝の左耳にもピアスがあった。
きっと、あいつが麻耶の元彼
「……退院したらさ、ちゃんと麻耶って奴と話せよ。」
何も言わない俺を見かねたのか裕也が呟くように言った。
「自分がそういう人間……不良だったって、隠してたんだ。」
「隠してたんじゃない。俺も聞かなかったし、そういう話にならなかった。」
「何だよ、お前あいつらの肩持つのかよ。」
「そういうわけじゃねぇよ。ただ……」
言い争いをしても仕方ないって分かったのか、裕也は自分を落ち着かせるように息を吐いてから今度こそドアを開けて病室を出て行った。
俺はただ、もう何も考えられなかった。


