その金色の髪がなびいて、俺はその左耳に釘付けになった。
「………え?」
俺は一瞬気を取られてまともに殴られてしまった。
立ってられなくて俺は倒れこんだ。
地面をすぐ近くに感じた。
「何だよ。」
金髪リーダーが座り込んで俺に顔を近づけた。
「もう終わりか?」
俺は、その隙をついて少し笑った大輝の襟元を掴んで立ち上がった。
大輝は慌てて少し暴れたが俺が離すわけもない。
「その左耳……」
俺はすぐ近くにある大輝の耳を見た。
右耳には穴すらあいていないのに、左耳にだけ黒いストーンのピアスがついている。
俺の頭の中でまた麻耶の声が響いた。
『彼氏の、真似してあけたんです。』
「ピアスがどうかしたのか?」
大輝は機嫌悪そうに俺の顔を見た。
俺も大輝の顔を見た。
大輝の目は、さっきの楽しそうな顔とはだいぶ違った。
どこか冷静で何かを諦めたような、そんな目
その目は麻耶がたまに見せる目にそっくりだった。
俺の嫌いな、あの冷たい目
「……麻耶と同じだ。」
「あ?……ああ。そう言えばあいつも左耳だけだったな。」
「違う。その目。」
俺が殴ろうとすると大輝はそれを避けてとっさに俺から離れた。
「目?」
「ああ。」


