「お前は強そうだな。
どうだ、俺達と勝負しねーか?お前らが負けたらここは俺らのもん。
俺らが負けたらお前らの名は上がって喧嘩仕掛けてくるやつもいなくなるだろう。」
「はっ。そんな条件飲めるか。」
そう言ったのは神崎先輩だった。
「ちょ、神崎せんぱ…!」
「俺達が勝ったらお前達は俺らの言う事を何でも聞く。これからずっとだ。」
やばいことになった。
神崎先輩がキレるともう戻れない。
だからと言って俺達が向こうに勝てるわけがない。
なんたって向こうは、ここらの強いやつらが集まった集団だから……
「………面白くない。」
俺の頭が真っ白になりかけたとき、高い声が響いた。
「大輝。何も面白くない。」
それは麻耶だった。
肩に手を回す金髪を見上げている。
「今日喧嘩する気分じゃないの。帰ろうよ。」
「まぁ、そう言うなよ麻耶。最近なかなか体動かしてないんだから。」
金髪の男は大輝って言うらしい。
麻耶はそんな大輝の言葉にため息をついただけだった。
「で?やんのか、やらないのか?」
「神崎先輩……!」
「やめましょう」って言った頃には、もう遅かった。
「やるに決まってんだろぉ!!」
神崎先輩のそんな叫び声と、それを擁護する3年生達の声を合図に両方のグループが一気に走り出した。
2つのグループはすぐに衝突して、殴り合い騙し合いの闘争が始まった。


