「先輩!」




もうとっくに12時を回っていた。



突然大きな声が響いて最近参加し始めたばかりの1年が公園に走って入ってきた。




「あ?どうしたんだよ。」




先輩は何が気に入らなかったのか、少し不機嫌そうに1年を見た。



1年は小さな悲鳴をあげた。




「す、すぐ近くで今他のグループが暴れてるって……」




「そんなもん、そいつらの好きにさせたらいいんだよ。俺達の邪魔をするならボコボコにする。それだけだ。」




「で、でもそのグループは隣の地区で有名らしくて……めちゃくちゃ強いって噂です。」




1年のオドオドした様子に神崎先輩は険しい顔になった。




「神崎先輩、今日はユキもいるし大丈夫っすよ!」




裕也がわざと明るい声で言った。



自分で言うのもなんだけど、俺は喧嘩は強い方だと思う。



だけど強くて有名なグループなら、もしかしたら負けるかもしれない。



最近新学期が始まって1年が多く集まりに入ってきて、喧嘩慣れしてない奴が多いから。




神崎先輩はどんどん険しい顔になっていって、終いにため息をついた。




「…強いだろうが関係ねぇ。裕也の言う通り由貴もいるし、なんとかなんだろ。」




その言葉が終わるなり突然みんなザワザワ騒ぎ出した。



今まで馬鹿騒ぎしてた明るさはもうない。