「裕也!由貴!こっち来いよ!」




裕也が酒を飲み干したあたりで神崎先輩の声が響いた。




「うっす!すぐ行きまーす。」




祐也は適当に返事をしたけど、すぐに行くつもりはないみたいだった。




「で?何を悩んでるわけ?」




祐也の言葉に俺はため息をついた。



こいつには、昔から隠し事が出来ない。



それは俺だけじゃなくて、お互い様だった。




「…摩耶さ、彼氏がいたらしい。」




「…は?」




いきなり何言い出すんだ、みたいな目で見られて俺は首をすくめた。




「言えって言ったのお前だ。」




「いや、言ったけど……そりゃ彼氏ぐらいいるだろ?あんな美人。」




確かに麻耶は…かわいい…けど



ちょっとショックだったとか、そんなことは柄じゃないけど




「何、ショック受けてんの?じゃあもう気づいてるんだな。」




「ショック受けてるって言っても、まだ数えるぐらいしか会ったことないし。」




「ばーか。そういうのは数じゃなくて、直感!」




裕也が俺を見てニヤッと笑った。




「その数える間だけでももうクラスも分かってて、家も知ってて、そんで2人きりで放課後残った仲だろ?

もう認めちまえよ。」