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「お前、順調に惹かれていってるな。」




「は?」




裕也の言葉に俺は首を傾げた。




「どういうことだよ。」




麻耶との放課後から、もう1週間経ったけど



その間も俺達は何回か会った。



食堂行く時とか、登校する時とか、会う度に挨拶してくれるのは素直に嬉しい。



でも麻耶を見つける度に、麻耶のあの言葉が頭に響いた。




『彼氏の、真似してあけたんです。』




今日は神崎先輩からわざわざ電話まであって



俺は仕方なく集まりに来ていた。



だけど今日はバイクじゃないらしい。



みんなが騒ぐのを公園の隅から見てた俺に、裕也がため息をついた。




「お前が順調に麻耶ちゃんのこと好きになってるなって言ってんだよ。」




「そんなんじゃねーし。」




「今さら何言ってんだよ。」




裕也は薄く笑って俺の隣に座った。



みんなそれぞれ酒とかタバコとか持ち寄って、神崎先輩の家の近くにある公園で騒いでた。



みんな楽しそうで、俺はどちらかというとバイクが良かったけど、まぁこれでもいいか




「最近何か考え事してると思ったら、大抵麻耶ちゃんのこと考えてるじゃん?」




「何で俺の考えてることまでお前に知られなきゃなんねぇんだよ。」




「あ、お前今さらっと認めたな?」




裕也は少し笑うと自然に酒を飲んだ。




「…美味いか?」




「ん?んー、あんまり。酒って雰囲気で飲むもんじゃん?

お前の横で飲んでも何も美味くねぇ。」