不良の俺とクールな後輩


体育の教師が出て行った直後、麻耶がふとこっちを見て俺は慌ててプリントに向き直った。



やべぇ



俺麻耶のことガン見してた。




「…先輩?今日は良く会いますね!何やってるんですか?」




あー、見つかった。




「…ちょっと、授業で寝てたらこうなった。」




「え、寝てたんですか。」




麻耶はクスクス笑うと俺の前に座った。



職員室からは何人かの教師が様子を伺うようにこっちを見ている。




「早く行かねぇと、お前も俺と同類だと思われるぞ。」




「同類って、あの集まりに参加してるって思われるってことですか?」




麻耶がちょっと笑った。



そんなことで麻耶が出て行くとも思わなかったけど



それでも職員室から覗く教師達の目が気になった。




「あの集まりが好きじゃないんですか?」




「いや、好きだけど。」




「じゃあそれを恥ずかしいと思わなくていいんじゃないですか?私は別に、あの集まりに関わることを恥とも何とも思いませんし。」




そう言うなり、麻耶はホッチキスを手に取った。




「は?お前何やってんだよ。」




「私授業で寝たりしないんで、こんな経験これからもないだろうなぁと。」




「…それ手伝う理由になってねぇから。」




そんなこと言いながら、麻耶が手伝ってくれるのが嬉しくて




「青ネクタイでも寝る奴いるのか?」




俺はついつい麻耶の勢いに乗っていた。




「結構いますよ。特に現代文の授業とかベテランのおじいちゃん先生なんですよ。それがすっごいゆっくりした口調で……」