「終わるのかよ、これ。」
時計を見るともう6時になっていて俺はため息をついた。
目の前にはまだまだ減らないプリントの束。
ホッチキスを持ってる手は動かしすぎて痛くなってきた。
俺が作業をしてるのは職員室と繋がっている資料室だった。
職員室からはこそこそ教師達の声が聞こえてくる。
『あの子、C組の吉原由貴でしょう?去年から目立ってる。』
『なんでもまた授業中に問題を起こしたとか。』
問題を起こしたって、寝てただけだし。
やっぱり1年の始めから集まりみたいなのに参加してると、教師達から白い目で見られる。
まぁ、もうなんでもいい。
とやかく言われるのはもう慣れてる。
その時ガラッと扉が開く音がして、俺は無意識に顔を上げた。
「失礼します。安西先生いらっしゃいますか?」
職員室に入ってきた生徒を見て俺は心臓が跳ねたのを感じた。
入ってきたのは麻耶だった。
麻耶は俺には気づいてないみたいで、俺がさっき話してた体育の教師のところに走って行った。
「安西先生、生徒会長が呼んでました。」
「おお、ありがとう西村。お前生徒会役員だったか?」
「いいえ。友達が生徒会で残ってるんで、その手伝いです。」
「それはお疲れ様。ちょっと行ってくるわな。」
「はい。」


