確かに、「世界が違う」と言う言葉は俺にも重く聞こえた。
この集まりは不良の集団だから、何か騒ぎを起こす度に特進科の奴らと比べられる。
「もう少し特進科を見習え」だとか、「特進科はそんな馬鹿な行動はしない」とか
俺も祐哉も何度か教師にそう言われたことがある。
「偏差値が違うだけで同じ人間なのによー!!」
神崎先輩はそう言うと、ポケットからタバコを引っ張り出した。
「いるやつ、挙手!」
「はーい!」「先輩、俺もー!」
俺以外のほとんどの奴が手をあげて、ライターを持ってたやつに火を借りてタバコを吸い始める。
辺りはすぐに煙でいっぱいになった。
「由貴も1度やってみろよ。」
「いや、いーっす。」
俺がそう言ってパンにかぶりつくと、みんなから笑い声があがった。
「神崎、吉原に吸わそうってのが間違ってるぜ。」
「先輩、まったくやったことないんスか?タバコ。」
最近来るようになった1年の1人にそう言われて、俺は頷いた。
「臭いが嫌い。」
俺は、麻耶のことを思い出してため息をついた。
『タバコも、吸うなら捨ててください。臭うんで。』
「……そんなこと言って先輩、めっちゃ臭ってますよ。」


