不良の俺とクールな後輩


特進科の先輩は頭がいいだけあって冷静で


今にも殴りかかりそうな神崎先輩とは違ってじっと神崎先輩を見ていた。



神崎先輩は口喧嘩は弱いけど、手が出ると誰にも負けない。





だからこそ校内で手を出させるわけにはいかなかった。




「神崎先輩!なーに楽しそうなことしてるんすか!」




俺より先に、祐哉が神崎先輩に声をかけた。




たぶん祐哉も俺と同じ考えで、2人のところまで行くと特進科の先輩と神崎先輩の間に立った。



「先輩、喧嘩なら俺らも呼んでくださいよ!」




「おお、祐哉か。悪いがまた今度な。俺は今こいつを殴らなきゃ気が済まねぇ。」





「お前はなんでいつもすぐに殴ることを考えるんだ。」




特進科の先輩も黙ってればいいものを




神崎先輩は煽られたせいで余計に苛立ちを見せた。




「お前も1度俺に殴られたいみたいだな?生徒会長だかなんだか知らないけど、いちいちムカつくんだよ。」




「先輩、やるんなら学校の外でおねがいしますよ〜」




祐哉が笑って神崎先輩を止め、俺もそれに加勢した。




「…先輩も、煽らないで下さい。」





俺は静かに特進科の先輩を見た。



この先輩は何度か見たことがあった。





3年の特進科の中でも優秀で、生徒会長として何度も演説してるのを見たことがある。





「俺達も、騒ぎになって欲しくはないんで。」





騒ぎを聞きつけたのか、もう何人か教師も集まって来ていた。




特進科の先輩はちらっとそれを見ると、ため息をついた。




「分かった。すまない、僕も言い過ぎた。」