「悪い、変なこと聞いて……」



ちょっと考えれば分かることだったのに




家族の事情を他人の俺が簡単に探っていいわけがない。




「五十嵐は、私以外の家族の名前です。
人の出入りが激しい家なんですけど、今は両親と兄と、4人で暮らしてます。」




俺はそれを聞いてもう一度家を見上げた。




だけど、ずらっと並ぶ窓はどれも暗くて




家に誰もいないのは明らかだった。





「送ってもらって、ありがとうございました。お礼にお茶でも…って言いたいところなんですけど、家族がいつ帰ってくるか分からないので……」





「あ、いいよ。俺が送りたかっただけだし、気にすんな。」




麻耶が頭を下げたのを見て、俺は歩き出した。





「先輩、また学校で!」




麻耶が手を降ってくれたから、俺も無意識に手を振った。







ただ俺が歩いていると、エンジン音がして1台のバイクが俺の前に止まった。




「み〜ちゃった♡

なんだよ、お前あの子狙ってたのかよ!なら紹介してもらうわけにはいかねーなぁ。」




「あ?狙ってなんかねーよ。」




ニヤニヤ笑う祐哉を無視して、俺はバイクの後ろに乗る。




「いやいや、お前女の子に関してはあんまり経験ないから分からないかもだけど、あの子のこと気になるんだろ。」




まぁ



気にならないといえば嘘になるけど