お屋敷、とまではいかないけど
大きな門があって、門の向こうにはスポーツカーと外車が4台並んで止まってて
大きな玄関にズラっと並んだ窓
塀があって良く見えないけど、家の両側には広い庭に大きな木が何本か立っていた。
……5階ぐらいまであるんじゃね?
俺が呆然と見上げていると、麻耶が不思議そうに俺に近づいてきた。
「…どうかしましたか?」
「え、あ、いや………でっかい家だなぁって。親が社長か何か?」
「いえ……まぁ、似たようなものですけど。」
似たようなもの?
俺はそっちも気になったけど、それよりもっと気になったものがあった。
門のすぐ隣に表札があって、そこには大きく「五十嵐」と書かれていた。
だけど、その「五十嵐」の下に小さく「西村」って書かれた紙が貼り付けてあった。
紙はだいぶ前から貼られてたようで、雨風で古くボロボロになっていた。
「……名前、五十嵐 麻耶?」
それを聞いて麻耶はちょっと困ったような顔をすると首を振った。
「いえ、西村 麻耶です。」


