…こいつも、俺の名前女みたいって思うかな。
でもまぁ偽名使うわけにもいかないし、こんなこと慣れてるし別にいいか
「吉原 由貴。」
「わぁ、可愛い名前!」
俺が嫌そうな顔をしたのが分かったのか、麻耶は声をあげて笑った。
「あはは、女みたいってからかわれたりしません?」
「名乗る度毎回不思議そうな顔される。」
大抵の奴は俺が怖いのか何も言ってこないけど
神崎先輩なんか、俺が名乗ったとき
「ユキ!うわぁ女みてぇ!」
って思いっきり笑いやがった。
それがあんまりにも笑うから、怒る気にもならなかったけど
「いいじゃないですか、あたしは好きですよ!」
〝好きですよ〟
なんだか分からないけど、一瞬ドキッとした。
いやいや、そういうので言ったんじゃねーし
てか俺達まだ会ったばっかだし
俺が黙り込んでいる間に家に着いたのか、麻耶が1つの一軒家の門に鍵をさした。
門は音をたてて自動で開いていく。
…ん?
門………?
俺が見上げると、それはめっちゃくちゃ大きな家だった。


