「今日は早く終わっちゃいましたね!まぁ、またすぐに集まりあるんですから、俺がユキ引っ張っていきます。」
裕哉が先輩に返事をしている間に、俺は目の前のマンションに向かって歩き始めた。
「はい。大丈夫ですよ神崎先輩…っておい、ユキ!?」
裕哉は突然歩き出した俺にびっくりしたらしく
後を追いかけて来て俺の肩を掴んだ。
「あ、先輩!またかけ直します!」
「放せよ裕哉。」
「どうしたんだよお前。」
裕哉は訳が分らないようで、首を傾げるとマンションの方を見た。
そこには、2人の高校生ぐらいの女子が立って話をしていた。
この時間ならたぶん塾帰り。
「…あの子ら?お前が興味あるの。」
「………」
「…え、図星?」
女子に興味があるなんて、自分でも驚いていた。
だってそのうち1人が、
中庭でサボってたとき、俺のことを少しも怖がらずに話しかけてきた女子だったから。


