不良の俺とクールな後輩


「もちろん。言うわけがない。」




俺が頷くと摩耶は息をついた。



予鈴のチャイムが鳴っても俺達は立ち上がろうとはしなかった。



もう裕也の席がない教室に帰るのにまだ心の準備ができていなかった。




「……ハルには、自分の幸せを1番に考えて欲しいです。」




麻耶はちょっと笑っていた。



本当にハルのことが好きなんだって、表情から分かる。





……まだ、忘れられないんだ





麻耶から話を聞いてもハルと麻耶の間に起こった事件みたいなものの正体は分からなかった。




麻耶が避けて話したのか、そもそも本当にただのすれ違いだったのか



俺にはそんなこと分からないけど、麻耶がまだハルのことを好きなのは分かる。




そこまでハルのことを大事に想ってるのに、俺が敵うはずもなかった。




「うん。」




本鈴のチャイムが鳴って昼の授業が始まっても、俺達はずっと中庭に座っていた。