「かっこよかったんですよ。大輝と一緒にずっと暴れまわってて、ちょっと憧れだったって言うか。
私も中学生になった時に真似してピアスの穴開けて、それからは子ガモみたいにずっとくっついてました。
ずっと好きで、中2の時にハルが告白してくれた時は嬉しかったなぁ。」
何で別れたんだ?って
聞いていいのか分からなくて俺は黙り込んだ。
だけど麻耶はじっと俺のことを見ていた。
「……何で別れたのかって思ってます?」
「……うん。正直思ってる。」
俺の言葉に麻耶はまた困ったように笑った。
『自分は何もできなかったって責任を感じて、どこかに行っちゃったんです。』
俺は初めて麻耶の両親に会った日の麻耶の言葉を思い出した。
責任を感じた理由は、何だったのか
「すれ違いです。
思ってたことが2人の間で微妙に違って、噛み合わなくなって。
ハルは2年ぐらい私達と一緒にあの家に住んでたんですけど、すれ違いだしてすぐに家を出ました。
今どこにいるのか、ちゃんと学校に行ってるのかすら分かりません。
ハルは自分の家に帰ってるって大輝が言ってたんですけど情報はそれぐらいなんです。」
「家に帰ってるって、じゃあなんで一緒に住んでたんだよ?」
ハルは両親から育児放棄を受けていたんだと奏さんは言っていた。
「ハルは、家族から愛してもらえなかったから。」
俺は麻耶の声に少し違和感を感じて麻耶を見た。