小さな頃からスイカは嫌いだ。

種をいちいち出すのが面倒くさいし、
吐き出すことも苦手で、
かと言ってほじくって出していたら
手が汚れるし親によく怒られた。


高校二年になった夏のある日ー。

「悠月(ゆづき)ちゃん!」

隣の家のおばさんが、
大きなスイカを下げて持ってきた。

「うちじゃ食べきれないからおすそわけ。
田舎から送られてきたのよ。
あとでうちの貴斗も寄越すから
みんなで食べなさい。」

貴斗、は幼なじみである。

幼稚園から高校まで
同じ学校、同じクラスの腐れ縁。

家まで隣だから
顔は既に見飽きたし、今更
何の感情もわかないとは
思っていたけれど、
でも最近の貴斗は
ちょっとドキッとする。

身長は毎年伸びてるし、
勉強もまぁそこそこできる。

スポーツだって水泳部だし
何故かモテないのが不思議なくらいだ。