あなたの世界、わたしの世界

「あ、あのお邪魔でしたらすぐに退散しますのでお名前だけ教えていただければありがたいんですけど…!」

双子はお互いに顔を見合わせてから順に名乗った。

「初めまして、慶恩寺真奈です」

「初めまして、慶恩寺真穂です」

転校生は双子の義務的な返事に少し戸惑ったようだが気を取り直して一礼して出ていった。

「びっくりしたー。今時あんなに律儀な子いるんだねー」

真奈がびっくりしたように言う。

「普通は私たちのことは気にかけない…というか避けるもんよね」

双子は転校生、小鳥遊さんのことを観察してみることにした。

双子にとってこの人物は今までに見たことのない珍しい行動をとった。

双子の好奇心を刺激するには十分だった。