それは、高校入学式から3ヶ月くらいたったちょうど今頃の季節のことだった。


4人グループで仲良くしていて毎日がとても楽しかった

「わたし、実は今好きな人がいるんだよね」

グループのなかでもまとめ役の奈美が言った。


クラスの明るいかっこいい男の子だった。


それから恋バナは盛り上がり、好きな人はまだ全然いなかったわたしも奈美の恋の行方をとても楽しみにしていた。
その時はよかった。ただ平和だった。



一週間後くらいにわたしは、普通に楽しく学校へ行った。でも慣れない声がわたしに触れた。


「悠ちゃん、ちょっといい?」


わたしはどきっとした。奈美の好きな人だったから。

そんなことで嫌に思うような人じゃないと信じていたけど奈美たちの視線がわたしに向いていないか、とても不安だった。



「な、なに…?」



「実は、俺ずっと悠ちゃんの事好きだったんだ」



「!!」



「よければ、付き合ってくれないかな」



すごく驚いた。今までほとんど話したこともなかったし、一番に、奈美の好きな人だから。


「ご ごめんなさい。わたしは今好きな人とかいないので…ごめんなさい!」




みんなに見られないか不安で早くそこから去りたくて走った。



嫌な予感は当たってしまった。すぐ横の曲がり角に、奈美と華絵と茉子がいた。



「…裏切り者」