~志宝side~

「俺は、幼い子供の頃から貧乏生活だった。だから、我が儘なんか言えなかったし俺も言わなかった。」

佐久良は、静かにきいてくれる。

「でも、突然父親が、俺を見て殴りかかってきたんだ。母親は帰って来ない日が続いた。……それが、5年生の頃だ。」


「理由はすぐにわかった。母親の浮気だった。でも俺は毎日傷だらけのまま学校にも行った。6年生になったとき、いつものように学校から帰ると家はもぬけの殻だった。」