ハイドアンドシーク・ラブ







イラッとしてる私の態度に気付いてか、気付かなくてか、

暁くんは、1度俯き、頭をかきながら言った。




「制服に、水溢しただけなんで。
 先輩が気にするようなことじゃないっすよ」




ちらっと私を見ながら言う暁くん。



──こ、これが噂のツンデレか……!!




思わずきゅん、となってしまう。





母性本能がくすぐられる子です。






「何、じっと見てんだよ」




──前言撤回。




「敬語を使いなさいツンデレ!!」


「はぁっ!?ツンデレじゃねーし!!」


「ツンツンしすぎだおチビ!!」


「これでも163あるぞ!!」


「私165だから」


「は、中2で?ちっさ」


「な、平均余裕で超してるからね!?」




言い合いしてる私たちの間に入ってくる、秋先輩。

なぜに。恥ずかしすぎるっ。





「まぁまぁ。暁くん、先輩には敬語ね。此原も、あんまムキにならないで」


「…………すいません」


「はっ、怒られてやんの」


「……チビ」


「るせっ」



「2人とも、やめなよ」




暁くんは遥斗先輩に、
私は遥南先輩に、襟首を掴まれ、引き剥がされる。




「なに子供みたいなことしてんの」



呆れたように笑われた。




──チラリと見えた秋先輩が、切なそうに見えたのは気のせい?