ハイドアンドシーク・ラブ

「よし、ランニングするぞ」




部員が集まるのを確認すると、遥斗先輩が告げた。



靴を履き、今日のノルマを確認する。





「女子と1年は外周20なー」




20週……いつも通りか。




「それじゃ、開始!!」




遥斗先輩の声を合図に、一斉に走り出す。



遥南先輩と並んで、私は女子1位の体力がある。


足は速くない。でも、体力はある。
そんな感じ。





20週も、同じペースで走ることができる。





「お、すげぇ!!」




女子とは入れ違いにノルマ確認をし、スタートした男子から歓喜の声が上がる。



直後、1位を並走していた私と遥南先輩を余裕で抜いたのは暁くん。





「……綺麗なフォーム」





思わず呟いてしまう。
彼の生前は陸上選手か?




どんどん遠くなる暁くんの背中を、思わず見つめる。






「お?お?お?みっつさんは足の速い方が好みですかぁー!?」



わざと、後ろを走る体力のない秋先輩や、

前を走る暁くんに聞こえるように叫ぶ遥南先輩。





「はっ!?ば、違いますって!!!」





──確信犯だ。


そう思っていると、前の暁くんの走るスピードが上がった気がした。