「私でよかったんだと思う…。幸輝の記憶から消えたのが、おじさんやおばさんや健司くんだったら、もっと大変なことになってただろうし…私でよかったんだよ。こんなにツライ思いをするのが、おじさんでもおばさんでも健司くんでも親友の真宏くんでもなくて、私でよかった…」 健司の目が潤んでいる。 「元気でね」 笑顔でそう言って、梨紗は歩き出した。 歩きながら空を見上げた。 これで本当に終わりなんだ… 幸輝… さようなら…