リュウの家に来たは良いけど、いざとなると足が上手く動かない。


「適当に座って?」

『ううん、お弁当箱取りに来ただけだから。』

帰ろう。

「なんで?お茶くらい出すって。」

ここで帰るなんて言ったら怪しいかもしれない。
でも本当の事を言う勇気も無い。

『ありがと。けどごめん。今日はやっぱり帰るよ。』


開けようとしたドアはリュウの手によって閉められた。

『…………。』

「…話しがあるんだ。」


すぐ後ろにリュウがいる。

近い。

背中に感じる温もり、

髪にかかる吐息、


『…わかった。』


その一言を返すだけで精一杯だった。