音楽に乗っていた人も、
カウンターでお酒を飲んでた人も、
暴れていた人も、酔っていた人も、


レツが通るときだけはみんな緊張した顔つきで道を開ける。


レツが歩くところだけなぜか時間が止まった感じがして、これだけの男がなぜ私なんかを相手にするんだろうか


暇潰しなら他をあたってほしい。


私はレツと歩いているからか女たちからさらに睨まれて


男達からはレツに対する憧れの視線と私に対する好奇心が混ざっていて


私は発射的に顔を俯けさせた。


「え?ちょ、レツ!」


もう少しで出口ってところで、レツの名前を呼ぶ男ーーショウシは、レツを引き止めた。



ーーどこへいっていたんだろう



とショウシを見上げながら考えているとショウシは私を見た後レツをみてから



「どこ行く気?」



いつもと違った低い声にレツは怯える事もせず


「どこだっていいだろ」


無表情で淡々と話した。


「ケイちゃんどこいくの?」


苦笑いしたショウシはレツから、私に話を振り出した。


居心地が悪いからだなんて言えなくて
俯いていると、ショウシは「ケイちゃん?」と優しいけど何故か怒っている声色に私はさらに何も言えなくなった



「コイツが此処は居心地が悪ぃとな言うから帰ろうとしただけだ」



レツが私をかばってくれたかのようにそうショウシに代わりに言ってくれた。


ショウシは納得したように苦笑いして頷く


「ごめんね?ケイちゃん」


『え?……あ、うん?』


なんの事に謝ってるかわからなくて曖昧に頷くとショウシは「またね」だけ言い残してBlue stoneへ消えていった。


『なんか、ごめんね
私なんかの我儘でレツを巻き込んでしまって』