『…私が、なに?』


と無表情で女を睨み上げると
女は我に返ったようで


「あ、貴女!櫻井 華衣でしょ?!」


とキーキー声をまたあげて
私から腕を離して指差した。

ひとに指をさすもんじゃないよ
と思って見ていれば
既に女の横まで来ていたショウシが


「ケイちゃんて有名なの?」


と疑問を口にした
あー、そっか。そうだよね
まだレツとショウシは
私の本当の姿を知らない。


「レツ様!ショウシ様!
この女はっ……」


と言葉を続けようとする
女に顔を真っ青にした私


『や、めてっ』


なんで止めたのかわならなかった
いつもの私ならそんなの
全く気にしないのに…


なぜかレツとショウシには
聞かれたくなかった


無表情から顔を歪めた私を
みて新底満足そうに微笑む
目の前の女は本当の性悪だと思う


「櫻井 華衣は男癖が悪くて
酷いってもんじゃない。
それはもう異常を超えてるんです。
夜、一人で繁華街を歩いては
毎晩違う男と寝てるって
有名な女ですよ」


…い、や


私の目から冷たいものが流れ落ちる
それを気にしない女は
気持ち悪い笑みで
レツとショウシに向けていった


「レツ様!ショウシ様!
こんな汚い女に
騙されないでください!!」


『……っ』


……汚い、女ね
確かに間違えてはいない。


レツとショウシの顔が
怖くて見れない私は
唇を噛んで
足元に視線を落とした。