「……名前」
と笑うショウシを冷たく見ていた
この冷酷男〈レツ〉は
私に視線をうつしてきた。
『名前?』
名前を言えってことでしょ?
主語が足りないんだよね。
『…ケイ。櫻井 華衣』
と静かにいうと冷酷男は
目を少し細めてから
タバコに火をつけた。
その仕草でさえ色っぽくて
思わず見惚れていると
「……レツ」
『は?』
とまたもや言葉の足りないこの男に
私はハテナを、飛ばせた。
すると隣のショウシが
にっこり笑って
「ごめんね?
こいつ無口だからさ。
レツってゆうんだよ。
あ、本名は 紫苑 烈」
と優しく教えてくれたショウシに
ニコッと笑うとレツは
タバコを足で揉み消しながら
口角を企むようにあげた。
「…おい。華衣」
私を呼ぶレツの甘く掠れた声に
私の体はかたまる。

