遠ざかる足音を聞きながら、ボーッとする頭で思う。 きっと、大翔はサボる。あの方向は屋上だから。 いつもなら、大翔がサボろうとしているところを見かけたら、絶対に呼び止める。 しかし今回、今呼び止めるわけにもいかないし、また、この教材を用意したのが自分だと大翔に知られると、あの場にいたことがバレてしまう。 __だからごめんなさい、先生。今日だけは、連れ戻す気にはなれないの。 思うように動かぬ思考回路の中、私は先生に詫びた。