「明梨、1限サボろ。」






琉斗は私の腕を引っ張って、
屋上に向かった。







「大丈夫、1限だから誰もいないよ。」




「…うん。」





「明梨、なにがあったの?」




「なにも、ないの。ほんとに何もないのに…。涙が止まらない。」





「…神村と何かあった?」





「傘、貸してもらったの。昨日帰るとき置いてあったの。ただそれだけだよ。」





「そっか。」





琉斗は黙って私の隣にいてくれた。
私はなぜか涙が止まんなくて、
気がついたら眠ってた。





「…ん。」




「起きた?」




「…琉斗。」




「すっきりした?」





「うん。ありがとう。」





朝よりはずっとスッキリしてて、
時計を見ると夕方になっていた。




「まさか、琉斗もずっとサボってた?」




「明梨を一人にはできないでしょ。」





「そうだけど…」




「さ、アイス、奢ってもらうからね。」





そう言って私に手を差し延べる琉斗の顔は、優しくて、安心した。