「おはよ。」






「おはよう。昨日大丈夫だった?」







「へ?」






「電話。泣きそうな声だったから。」







「そ、んなことないよ。」






一応傘持ってきたけど、だけど、誰のかもわからない。
それになんで私は泣きそうなのか自分でもわからない。






「ねぇ。」





「え?」





「僕の傘、返して。」





「傘?」






「昨日、貸したの、返して。」






まさか、昨日の傘ってこの人の…。







「早く。」




「あ、はい。」






どうして、嫌いなのに貸したりするの。
訳がわからないよ。






「明梨?」






「あ、うん。大丈夫。」




「嘘。」





「はは、琉斗にはすぐバレちゃうね。」







どうして涙が止まらないんだろう。
どうして、嫌いなのに。