「おかえり。」






「ただいま。」







「なに、泣きそうな顔して。」






「別にそんなんじゃないよ。」







部屋に行ったら無性に琉斗の声が聞きたくなって、電話をかけた。





「もしもし?」




「琉斗?」





「そうだよ。どうしたの?明梨から電話なんて珍しいじゃん。」





「…なんか声が聞きたくなったの。」






「そっか。何かあった?」





「何もない…。そうだ、ロッカーに傘かけてくれてたの、琉斗?」





「え?かけてないけど…。雨降ってきてたの?」






琉斗がかけてない。
ってことは誰なんだろう。