-2年前-


「明梨、試験終わったから帰ろ。」





「うん!あ、雨だ。」








「ほんとだね。傘持ってきてて正解だったよ。」






「ねぇ、あの人、傘持ってないのかな。」






私の目は神村くんに釘付けだったんだ。
雨の空を見つめる神村くんは、
すごく悲しそうな顔をしてた。





「私、傘あげてくる!」






「え?」





「あの!よかったらこの傘使ってください。私は幼馴染みと帰るんで…。それじゃ!」





「…。」





神村くんは何も言わなかったけど、
あれが私の恋の始まり。


神村くんは覚えててくれてた。
だけど、嫌われてたなんてな。




「あれ、お気に入りの傘だったんじゃないの?」





「うん。だけどいいんだ。」






そう言って、2年間神村くんには気づいてなかったんだ。