バイクに乗っていた男は降りるとこっちにきた



こ、こっち来るんだけど…



向こうは私がいることに気がついてない



だから、逃げるのは今のうちなんだけど…



怖くて足が動かない



男は段々近づいて来ると、やがて私に気が付いた



「よお…今日はお前1人なんだ?」



そして、今に至る…



「蓮も奏くんもいないわよ」



「お前、俺のこと覚えてたんだ?」



忘れるわけないじゃない!



あんな恐ろしい喧嘩見たのに…



忘れてるほうがおかしいよ…あんなの…



「学校の中入って、ひと暴れしようかと思ったが…気が変わった」



不気味な笑みを浮かべながら目の前の男、矢島はそう言った



「お前を連れてったらあいつらどんな顔するかな…」



「…は?」



私を連れてく…?



「殴られたくなければ俺と一緒に来い」



脅迫だ…



これは脅迫だ…



どうしよう…行くべき?



でも、行かなかったら殴られる…



この人女でも容赦しなさそうだし…



このまま走って逃げる?



いや、それはダメだ



私は脚力には自信ない



「おい、早くしろよ。殴られたいのか?」



これは本気でくる感じか…?



「俺を待たせるんじゃねーよ」