奏くんとさよならして私も家に帰ろうとした時



「おい、姫歌。どこへ行く」



「は?家に帰るんですけど」



「お前、なにか忘れてないか?」



蓮にそう言われて思い出してみるけど…



「なにかあったっけ?」



思い当たる節はなにもない



「俺、家来て料理作れって言ったよな?」



「うげっ…」



「あれから1度も作りに来てねーけど?」



そう…あれから私は蓮の家には行かず自分の家に帰っていた



「だ、だってあんな豪邸で料理なんて作れるわけないでしょ!!」



「そうか…」



私がそう言うと蓮はすっぱり諦めてくれた



話せばわかるのね〜



でも、蓮にしてはやけに素直なような…



「俺がお前の家に行けばいいのか」



「……は?」



前言撤回。こいつはやっぱり分からず屋だ



「お前が俺の家に行けないなら俺がお前の家に行けばいいんだろ?」



「なんでそーなるのよ…」



「決まりだな。明日からお前の家行くから」



「どーせ拒否権なしとか言うんでしょ…」



「よくわかってんじゃねーか」



「はぁ…味は保証しないからね」



「姫歌が作るものなら残さず食べるよ」



さっきまで意地悪な笑顔だったのにいきなり優しい顔するの反則…



「じゃあ、もう帰るからね…」



「姫歌、絶対あんな思いもうさせないから俺から離れるなよ?」



「う、うん…」



「じゃあな」



そう言って蓮は私の頭の上に手を置いて家に帰って行った



その夜は胸のドキドキが止まらなかった