☆家庭事情と過去②☆ Side桜木

アタシは、丹羽に話すことを決意してゆっくりと話し始めた____

「アタシが、小学生の頃から……。アタシが小3の時から、お母さんが変わった……」

丹羽は黙って、アタシの隣に腰をおろした。

そう、あの日をさかいにお母さんは変わった。
アイツが居なければこんな事にはならなかった…
家族の間に、壁なんか出来なかったのに………



※過去※

「え……………」

アタシはその頃、小学生3年生だった。
妹2人も、まだ幼かった。
すでに、お母さんはお父さんと離婚して女一人でアタシたち、3人を育てていた。
アタシは、お母さん1人でも十分だった。
お母さんが大好きだった…………。

あの光景を見るまでは………。

小学校が終わり、早足で家に帰っていた。
早くお母さんに会いたくて…お母さんに"ただいま"って言いたくて…………。
アタシは、1秒でも早く家に帰りたかった。

そして、家に帰って、玄関で乱暴に靴を脱いで、ランドセルも部屋に投げ込み、お母さんが居るキッチンへ向かったら…………。

「え……………」

アタシは、目を疑った…………。
お母さんが、知らない男の人とソファで寝ていたから。

「お…お母さん……?」

アタシは、ビクビクしながらもお母さんに問いかけた。

「この人は…誰…………?」

すると、お母さんはゆっくり起き上がり、寝ていた男の人も起こして言った。

「この人は、私の彼氏。私は、この人に一生尽くす」

そう言ったお母さんの隣で、男の人が言った。

「お前らは、母親に見捨てられたんだよ」

それを聞いた、あの頃はまだ幼かったアタシは、信じられなくてお母さんに何度も聞いた。
けど、同じことを言うだけのお母さん。
お母さんは、こう言ったんだ…………

__「何で産まれてきたのよ。目障りなの」

それを初めて聞いた時は、耳を疑ったけどそれしか言わないお母さんを見て、本当にそう思ってるんだって分かって、アタシは思った。

"家族じゃない"

その日から、アタシとお母さんの間に亀裂が入った……。
そして、1番アタシが恐ろしいのは………。

愛に溺れること_____