☆家庭事情と過去①☆ Side桜木

__ピーンポーン

午後12時を回った頃。
丹羽の家のチャイムが軽快に鳴り響いた。
そろそろ、丹羽が帰ってきてもおかしくない時間帯で、少しワクワクしていた。

「はいはーい!」

__ガチャ
_パタン

「大人しくしてましたか?」
「もちろん!」
「それはそれは珍しいことですね」
「俺らのことを、どんな風に思ってんだよ!」
「問題児です」

梨沙が勢いよく玄関のカギを開けたら、げんなりしている丹羽が帰ってきた。
帰ってきて早々、晴翔は丹羽に余計なことを言っているけど、それを軽く流せる丹羽は凄いと思う。
だいたいの先生は、晴翔の言葉に噛み付くけど、丹羽にはそれがない。
きっと、めんどくさいとか思ってるんだろうけどさ……?

アタシは、丹羽が自分の部屋に入っていくのがのが見えて、他の3人に「丹羽に家庭事情話す」と言うと、3人はコクリと頷いてまた、騒ぎ始めた。
本当に飽きないな……。 

丹羽の部屋のところへ行った。

「お疲れ、丹羽」
「あぁ。本当に大人しくしてたのか?」

丹羽は、少しドアの隙間から見える3人の姿を見て、言った。
まぁでも、あの3人にしては大人しかった方だ。
アタシは、「うん」と答え、丹羽のベッドの上に座った。
すると………。

「桜木が暴走した日のとき…俺、キスしたよな?」

丹羽が、急に話してビックリしたのもあるけど、あの事を思い出してしまい、俯いてしまった……。

「本当に悪かった……」

今にでも、消え入りそうな丹羽の声に、胸が高鳴った。
ベッドの上に座っているアタシの、目の前で仕事着のスーツを脱いで…………え?
脱いでいる?

アタシが、頭を整理している時に、もうすでに丹羽はカッターシャツも脱いでしまっていた…。
え………………………………。

「あっ………」

丹羽も、分かったらしく慌てて近くにあったTシャツを手にとって着た。
こんなことを言ったら変態に思われるかもしれないけど、丹羽の身体は程よく筋肉がついており男らしかった。
なにか、スポーツでもやってたとか……?
1人で、グルグルと思考を巡らせていると、目の前の丹羽が「ワリィ……」と、少し頭を下げて言った。
その丹羽の顔が少し赤くなっていて可愛かった。

「大丈夫」
「おう……」

まだ、恥ずかしいのかな……?
口元に右手の甲を当てて、目を逸らしている。
26歳なのに、青年に見えるのはアタシだけ?

アタシは気持ちを切り替えて、丹羽に言った。

__「丹羽に話すことがある」

丹羽は、少し驚いていたが黙って頷いた。

これからは、アタシの過去になる_____