この状況が何なのか、理解できずに、なされるがまま、わたしは抱きしめられていた。 竜也の腕の中で石のように固まったままのわたしの体。 竜也の顔すら見えない。 耳元で聞こえる竜也の吐息が熱い。 「花澄……」 竜也に名前を呼ばれるだけで、ドキンと胸が鳴る。 初めてこんな近くで聞く竜也の声……。 わたしの名前…………。 ドキドキしすぎて、汗がにじみ出る。