足もとの砂を見つめていたわたしの耳に竜也の明るい声が入り込んできた。 「ごめん……今のなし」 「え?」 振り向くと、そこに竜也の顔はなくて……。 お尻についた砂を軽くはたきながら真っ直ぐ海を見つめていた。 「ちょっと歩くか……」 「ちょ……竜也!」 わたしも慌てて立ち上がって、じゃりじゃりと音を立てて歩く竜也を追いかける。