「何か……ここ、いいね……」 「そうだろ? ここにいると、すっげー落ち着くっていうかさ…… 素直に物事を考えられるんだ」 「竜也に一番必要な場所だね」 そう冗談っぽく竜也に言って笑う。 「うるせーよ」 竜也がぶっきら棒に答えて静けさが戻る。 会話が途切れると、潮の音が辺りを包む。 冷たい海の風が顔を突き刺す。 時間が経つと、やっぱり体も冷えてくる。